キシリウムSLSをゲットしたのでハブベアリングをメンテナンスしました。

まずリアハブの回転があまりに悪くて、マビック特有の調整ナット(画像の穴あきの輪っか)を調整しても改善しませんでした。
というかそもそも調整ナットが最初からガバガバに緩んでて走っててガタついてる始末。
緩めすぎてナットのツバがハブに当たって削れてました。
前オーナーが構造と調整方法を分かって無いまま回転を良くしようと緩めたんでしょう。
このガタがすごくて、加速時にたまにコッ…コッ…って異音がして軽いダンシングでシュータッチするほど。
剛性番長なのになんで!?ってなりましたもん。
裾野が広い自転車界ではこんなのは茶飯事ですが、元々「安全第一」で作られた純競技機材なもんで、総重量が軽くて速度も低い分だけ易々と走行不能に至らないから
機械センスゼロのニブチンのド素人が大変なことをしたまま使い続けてしまうというケースが非常に多く見られます。
本件は壊れるに至っていないのでかなりマシ。許す。
同じキシリでも恐ろしく酷いケースを後日見せてやるから冥途の土産にでもどうぞ。


フリー側を見てみたら、見慣れない黒いダストシールのベアリング。
なんだかシールがボッコボコで小汚いことになってます。
シールを何度も外されたようです。


プーラーで引き抜くとTNiの文字が。あーやっぱり。
マビックのここのベアリングってSL後期あたりから608/9という本来なら内径8mmのところが内径9mmという特殊規格になってるんですよね。製品が販売されていた頃はそれが入手しづらかったから交換用(というか改造用)としてTNiのベアリングが重宝されました。
純正のベアリングはハブ左右ぶんの抱き合わせで国内で3000円以上したと思います。マビックはパーツが潤沢なのはいいけど微妙に高いので、「むしろセラミック化した方が安いじゃん」ってことになって余計に改造する方向に流れるでしょう。
しゃーないみんな貧乏が悪いんや。マビック貧乏で名付けてマ貧乏や。


セラミックめっちゃ黒いな!中は酷いことになってました。回転が悪かったのはほぼこのベアリングが原因です。
非接触シールなのでゴミはかなり入りやすいですが、本来ならフリーボディに隠れて完全に内側に設置されるのでゴミは入らないはず…
って思うじゃん?
ゴリゴリに傷んだ原因は、フリーボディに付いた過剰なオイルがフリー内の異物と混ざってベアリングに入り込んだから。ラチェットに付いたオイルを拭き取らずに良かれと思って塗りたくってるからこうなる。
説明書には
クリーニングしてからラチェットの突起の3山ぶんだけオイルを付けろと書いてあるはずです。
新品状態を知っていれば分かると思いますが、ラチェット機構部にあまりオイル気が無いのが正しい状態です。

NDSもセラミックでした。

フロントもセラミック。片側が少しゴリってました。異物のゴリ感ではなく打ち込み失敗したゴリ感です。
フリーボディ以外はALLセラミック化されてました。

ALL非接触シールのセラミックベアリングから
ALL接触シールの普通のベアリングに交換します。
特殊ベアリングは海外製ですが良質なメーカーのものを手配しました。
マビックの純正もスウェーデンのメーカーだっけ。

シールを外してウレアグリスに入れ替えました。入れすぎると無駄に回転が重くなるのでほどほどに。

入った入った。

フロントも入れ替えますが、外した時に
斜め打ち込みの痕跡がありました。
これがゴリ感の原因ですね。斜めに入っちゃって内輪を打っちゃったんでしょう。あるいは内輪を打っちゃって斜めに入ったか。

ウレアに入れ替えて打ち込んでいきます。

打ち込み時に打ち込み過ぎないように注意。画像のように底付きを確認しながら打っていった方がいいです。
フロントはともかくリアはベアリングのストッパーとなっているツバが非常に薄い。
力強く打ち付けていくとたぶんツバがぶっ壊れてゲームオーバーだよ。
そんなこんなでゴリゴリでガタガタだった車輪も普通に戻りました。
セラミックそれ自体はともかく
非接触シールのベアリングに替えてはいけませぬぞ。